蘭マサ拓のつもり…拓蘭マサじゃないよ…じゃない…じゃ…な…い…6 ~last storry~
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「狩屋~、早く上がれよ~」
「は…はい…」
狩屋が照れている。
部屋の近くの風呂に入ろうとして、俺が服を脱ぐと、狩屋は茫然としていて、神童が真っ裸で声をかけると、狩屋は驚き切って、俺は狩屋の服を無理やり脱がしてやった。
風呂に入り、背中の流しあいに狩屋が恥ずかしがって、神童と一緒に無理矢理体を洗ってやった。
いろいろと狩屋が恥ずかしがったり、風呂の広さに驚いたりして風呂で遊んだ。
神童は、こんなに風呂ではしゃぐのは初めてだ、と言い、一緒に風呂で遊んだ。
風呂からあがると、部屋の冷蔵庫に3人分に分けられたケーキが入っていた。
「ここまでしてもらうと、なんだかシェフに申し訳ないな…」
そう言って取り出したケーキは冷え切っていて、風呂からあがって熱くなった俺たちの体内にピッタリの物だった。
「これ、霧野センパイが作ったんですか?」
「いや、シェフに頼んだ。」
「お前は本当にシェフと仲がいいんだな…」
「まぁ、な…」
神童の事で意気投合したから、なんて、当然本人の前で言えるわけもなく、喉の奥に呑み込んだ。
なんだか神童に隠し事をするのは性に合わなかったのか、「それよりこれ、早く食べよーぜ!」なんて言って、無理に話題を変えた。
「ん…霧野…これ、なんか入れただろ…」
「あ、気付いた?ふふっ…神童…顔真っ赤だ…」
「セン…パイ…?」
「あぁ、これはリキュールを入れたんだ」
「リキュール…?はっ…どうりで…頭がクラクラする…」
アルコールに弱い神童は、顔を真っ赤にして体の不調を訴えていた。
「神童先輩…なんか…エロい…」
神童の色気に見入ったのか、リキュールのアルコールが効いているのか、狩屋は顔を真っ赤にして神童から視線を逸らした。
「狩屋も神童も、顔色悪いぞ?」
「…っていうか…センパイがアルコールに強いんすよ…」
「ん~…そうか?」
「そうですよ…」
狩屋の顔は赤なのか青なのかよくわからない色に染まり、ぐったりとソファの背に寄り掛かった。
唯一元気な俺は、ベッドに向かう神童を手助けしていた。
「ん…霧野、すまない」
「ん、いいよ」
この中で唯一元気だと言っても、特別アルコールに強いという訳でもない。
狩屋をベットに運ぶと、酔いが回ったのか頭がふらふらしてきた。
狩屋はすでに寝ていて、神童はその顔を見ながら俺が来るのを待っていてくれたようだ。
「…結局、狩屋はどちらか選べなかったな」
「そうだな…忘れていたのか…、」
「それとも言うのが恥ずかしかったのか…、」
神童も同じことを考えていたようで、ベットの上で声を合わせた。
「ふふ…、俺は、霧野の方が好きだぞ」
「しんど…」
神童の蕩けるような笑みに破顔し、言葉を詰まらせた。
「神童が言ってくれたんだから、俺も言わなくちゃだよな。」
詰まった言葉を、狩屋に聞こえないくらいの小声で
「俺も…神童の方が大好きだよ…」
そう言うと神童は、照れ隠しなのか、俺の唇にキスをした。
そして、狩屋を挟んで2人は眠りについた。
~END~