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「なあ、浦川。」
練習試合の帰り際、優斗はある考えのもと和に声をかけた。
「なんだ。」
「ん?有野、どうしたんだ?」
「えっ、えっと…お前は…」
こいつの名前なんだっけ…自己紹介まともに聞いてなかったしな…と優斗は焦った。
「おい有野、仲間の名前を忘れるなんてひどいんじゃないか?」
「もう、優斗ってばちゃんと人の話は聞くものだよ?」
「あ…ごめん。で、名前なんだっけ」
和にも登志にも咎められ、しかも登志には顔を近づけて言われたので優斗は動揺してしまった
「良域陸だよ、覚えておいてね」
ウインクされて釘を刺されたが正直自分より背の高い坊主の男にそんなことされても特にときめきはしない。それより登志にしてもらったほうが…と優斗は妄想を広げていたが、果たして彼は完全に自分の置かれている状況を把握しているのだろうか。
「浦川くん、良域くん、優斗が…いや、俺からも聞きたいことがあるんだけど……」
話を振って